こころから耳を傾けて聴く

 

共感(empathy)という言葉は、カウンセラーにとって馴染み深く、

 

カウンセリングにおける基本的な態度のひとつとして心掛けることをカウンセラーは学んでいます。

 

共感とは、クライエントの経験世界の側に視座をすえ、その中核的な葛藤や感情、関係様式に波長を合わせながら

 

理解を探るための心理学的方法でもあります。

 

 

 

また、もうひとつの側面として、クライエントの孤独感や心の傷つきを癒すための共感があります。

 

多くの人にとって、自分のことを誤って理解されたり、理解を拒まれると、精神的に傷ついたり、

 

抑うつ感や孤独感をもたらすでしょう。

 

反対に、ありのままの自分を共感的に理解され、受け入れられたと実感すると、心理的な安全感を高め、

 

孤独感を和らげられ、自己評価が回復するでしょう。

 

 

 

ロジャーズは、「人は『理解される』ことができたとき、自分の『居場所』を確保できるのです」と、

 

共感的理解のもつ意義について述べています。

 

クライエントは、自我の成長を促進する共感的な環境に支えられて、少しずつこころの柔軟性や復元力を取り戻し、

 

辛い経験に注意を向けることが可能となり、自己探求をやり抜いていくことができるのです。

 

 

 

 参考文献

「精神分析的心理療法の手引き」鑪幹八郎監修 一丸藤太郎・名島潤慈・山本力編著